東アジアパートナーシップ事業さいちゃれシンポジューム報告

山崎こずえ氏

シンポジュームの開始にあたり当テーマに沿って、中国の実情についてのヒアリングを行った結果についての報告がされました。

 

（ヒアリングから見えた中国のシニアの実情）

＊吉林省、陝西省西安市、河南省、広東省、遼寧省大連市 のシニア生活についてのヒアリングから見える中国のシニアの実態は次のようなものだった。

①時間、資金があれば旅行をする。
②孫の面倒をよく見る。親は共働きなので、シニアが責任を持って子育てしている。

③孫、お金のないシニアは・・・　

・孤独な人は少ない。公園、広場が居場所となっている。

・広場舞、ダンス、カラオケ、太極拳、麻雀などに参加している。
・シニア向けの遊具もあり、帰属欲求も満たされている。

④ＩＴ機器を使いこなしている。
・ＷｅＣｈａｔ（メッセンジャーアプリ）で会話している。
・昼は公園、夜はＷｅＣｈａｔでおしゃべりを楽しんでいる。

 

Q&A
≪Ｑ１≫公園を離れても友人でいられるのか？
≪A１≫

日本人だと公園に集うのは望まないように思うが、中国では人と人の距離が近い。初対面の人とも会話する習慣がある。

≪Ｑ２≫

一人っ子政策で子供一人が双方の親４人を養うことになるが、高齢者を敬うことが崩れてきていないか？
≪A２≫

中国では戸籍制度により、簡単には都会に出られない。古来地元、家庭の結びつきを深くしてきた。しかし、７０後、８０後、９０後(７０年代生まれ、８０年代生まれ、９０年代生まれ)ごとに、価値観が変化している。
７５年代・・・儒教の世界からやってきたようなもの。
９５年代・・・そこまで敬うとか、大事にするというという気持ちは薄らいできた。

≪Ｑ３≫年金制度はどうなっているか？
≪A３≫年金制度はあるが十分ではない。再雇用や貯えでリタイヤ後に備えている。

 

≪Ｑ４≫

ワークショップにおいて中国人留学生（女性）より、「リタイヤシニアは都会にいないで、地方で起業した方がよい」との提言があったが、どう考るか？

≪A４≫
シニアの地方での起業は聞いたことはない。知識と経験を生かして起業するのは確かにいいことだ。シニア＝お年寄りではない。まだまだ一緒に仕事をしたい人はたくさんいる。

福田一敏氏

　建設コンサルタントをなりわいとしているが、簡単に説明する。
〇大規模国営公園の計画づくり、設計、工事、造園、管理運営など。
〇都市の公園配置、緑地保全など。
〇国土計画、地球計画など国土交通省の計画策定に参加
〇まちづくり計画

行政は箱ものや不要な道路など作りがち。これに住民も参加したいという声が上がってくる。このコーディネーター役を仕事としてきた。

①シニアが東京から逃げ出す時代が来る。それにより地方のコミュニケーションが活性化するのではないか。
高齢者が生きるには農業が必要だ。農地がある地方にシニアが行くと思う。必ずしもシニアが都会に集中することはないと思っている。

≪Ｑ≫

商店街は疲弊している。どこも同じスーパーばかり。行政のまちづくりはどうなっているのか。
≪Ａ≫

自分が成功したまちづくり計画はどこかと聞かれれば、一つもない。
住民と行政によってまちはつくられるもの。その種をまくのが自分の仕事。